老舗の菓子屋の失敗とその後

春日部市のあるお菓子の家は、かつては商店街の客足が遠のくのに比例して売り上げも下がっていき、近くの安いスーパーマーケットの勢いに飲み込まれて、売り上げは1日わずか10万~15万円という苦境に陥っていました。

この菓子屋の失敗点は、150種類という商品数のあまりの多さでした。

そこで店主と彼の妻が紹介を受けたコンサルタントの指導の下で、過去を遡ってどの商品が売れているのかを調べ上げた結果、スポンジ生地が何よりも味に左右されるロールケーキが唯一、商店街の客離れなどに左右されずに、店のNo1商品ということがわかりました。

店主は、修業時代から当時の師匠に菓子屋はスポンジが命という厳しい指導を受けてきており、その後も自ら研究を重ねてスポンジの焼き加減や調合を研究してきていました。そして、窯のメーカーから火の調整方法を聞かれることなど、メーカー側からも質問をされるほどの技術があることをサラッと口にするほどのレベルだということをサラッというのです。

本人にとっては当たり前のことでも、他人からすればとてもすごいことがあり、この時点で店の主力商品はロールケーキで行くべきという結論になり、価格も600円から800円に上げました。

そして、1日の目標売上本数を決めて、その本数をガラスケースいっぱいに積んでいきます。

そして、新聞広告やチラシなどでも宣伝して、そのおいしさの理由なども添えてお客様に伝えていくなどの努力もあり、売り上げは5倍、10倍と増えていきました。

この事例では、商品数を絞ることで、お客様にお店の商品を覚えてもらいやすくなり、ロールケーキがこれだけおいしいならと、他の商品も買ってみようというように、波及効果も広がっていきました。

商品数を絞ることで、材料もまとめて安く買えるメリットなど、様々な利点があり、商品数と価格設定、そして商品の紹介の仕方などで売り上げが何十倍となることがわかりる良い事例です。